今年のエンディング産業展は私にはちょっと違う内容であった。
何が違ったかというと、日本葬送文化学会というのがなかったので、学会の営業や運営をする必要がまったくなかったことで、気楽であった。
jFuneral.com には業界の動向を書いたが、こっちにはちょっと違う視点で情報を提供したい。

お葬式にテクノロジーはあるのか?
それともただの見世物小屋のイベントか?
バーチャルセレモニーは今はじまったことではない。
コロナ禍でだいぶ技術が進んだ。
みんなが当初、殺傷能力が高いとき、コロナが武漢ウィルスと呼ばれて罹患を恐れた数年前のとき、この技術が一気に花を咲かせた。
ライフ・エンディング・テクノロジー社を筆頭にzoomやネット葬儀の放送がはじまった。
しかし、みんなが集まれるようになってから、下火になったのは間違いない。
お葬式というのは人が集まってナンぼの世界であるのは、故人へ一人ひとりの思いを心の中で伝えたいからだろう。そして、みんなと絆を結びつけ、互いに社会の立ち位置を見つめ直す。最後は自分の順番が回ってくることを再度意識する場なのでは。
それが集まれなくなったとき、人はどうしたか?

3000本以上のカーネーションを利用しているとのこと
VR葬儀、オンライン葬儀、3Dイメージ、ハイブリッド葬儀なども色々とあるだろう。
会葬者にはお葬式ってのは終わりがあるからいいのかも。
これをエンドレス(3ヶ月とかオンラインお参り)ができるとなるとかなり遺族としても苦しい。
いや、リアルで3ヶ月間も毎日、誰かが仏壇にお線香を上げにお参りに来られるのも苦しい。
では、なぜバーチャルのイベントをやるのか?
そもそも、なぜバーチャルにしたいのか
普通に会議だけでなくお葬式、結婚式、退職記念などを
理由はコロナ感染や移動時間、移動費、会議室などの会場確保がメインではないはず。
昨今、バーチャルのものはスマートシニア社が提供する墓地までバーチャルだ。
この墓地は全世界で数百万の利用者がいて、それなりにおカネが動いているのでそう簡単に潰れることはないだろうと。

さて、その中で今回は建築事務所が提供するバーチャルセレモニーを紹介したいと思います。
株式会社 丹青ニューマネットさんが今回は発表している。
技術的にはサーバ空間に映像を置いて眺めている感じではある。
そこに追悼の言葉を送ることができる。
実際、双方向ではないので、後日、遺族がお返事を差し上げることができない。
スマートシニアさんの場合はバーチャルなお墓で与えられたQRコードを活用してそこを覗きに行く。
そして双方向であり、遺族は投稿者へ返事を差し上げることが可能である。
もちろん、セキュリティも万全である
バーチャルである必要性は葬儀ではもうないと言っても過言ではない。
もちろん遠方にいる高齢の親戚や施設にいる親戚のためというのがある。
昨今、経済事情もよくないから、わざわざ田舎から都会に出て葬儀に参列するってのも若い人たちには酷である。もちろん、参列してもらったほうがいいけど、本当にそこが重要かどうかは不明だ。
お葬式の単価は下がったけど、火葬料が上がった。
参列してほしくない、お葬式はやりたい、でも費用がない。
誰のせいとはいわない。
強いていうなら政府の失策でこの35年間(平成時代)ずっと賃上げがされなかった。
そしてそれにあぐらをかいていた大企業の悪があるというしかない。

東京博善だって、燃料費が上がっていて、値上げをしないと赤字が出てしまう。
それなら、他の民営の火葬場はどうなんだよ?って。
私が知っている逗子の誠行社さんも神奈川県での民営の火葬場である。
ここは、鎌倉市、逗子市、葉山町等との協定で値上げを出来ない。
本当は燃料サーチャージが欲しいと言っていた。
葬儀業界には「正義」がないのを理解して欲しい。
今はユニクエスト社が運営する「小さなお葬式」が独占的に値段を決めて、葬儀屋さんに押し付けていてたびたび公正取引委員会に引っかかっている。
そのユニクエストですら、今は葬儀単価を上げないとヤバいって思うようになってきた。
でもその苦労は下々で葬儀を出さねばならない遺族に降りかかる。
技術的には旅行パックのようにお葬式、読経、火葬、納骨までできるようなプランがあればいいのだが、「読経」には「お布施」がついてくる。
そのお寺との関係はどうなのか?菩提寺(自分のところのお墓やお付き合いがある)お寺なのか?で費用とかも変わってくる。
今回のエンディング産業展も例年のごとくB2Bであったが、どうも「供養」っていうテーマが見えなくなってきていると感じた。
「供養」って何か?

テンマックさんは最近パシフィコで開催されているフューネラルビジネスフェアにもここのエンディング産業展にも出展していない。最後が2020年か2021年のイベントだったかと思う。
そもそも「供養」って「弔い」であり、その弔いっていうのは亡くなった方の冥府を祈ることであるはず。その展示会がエンディング産業展で、その仕組を提供する業者の集まりのはずだが、このイベントがおかしくなっている気がする。
もちろん商業なので、ビジネス展開に中身を進めるのは当然だが、「供養」について語っているブースが存在しない。どうしたら供養ができますよと言ってしまうと宗教絡みの発言になるから、宗教者でないと語れないことが多いだろうし、逆に織田無道氏みたいな人が現れても迷惑なことになる。
つまりB2Bであるからこそ、業者向けになりすぎて「エンディング産業」的ではなくなっている。
これをB2Cに戻すことによって業者が望む葬儀の「あり方」、つまり本来の「葬送文化」の形と「弔い」を伝えることができる気がした。
技術的にはVRだろうが、zoom配信だろうが、参列者はどこにいようがそこに参加する場合、各々の気遣い心遣いで、しかも相手がこっちのことを見えなくても正装してもよいだろうと。
つまり、必要に応じて葬儀屋さんがツール、プラットフォーム、新しいスキル(機能と経験)を試してもいいだろうと。
そして、リアルにそこに参加された方々のために献花台を置いてもいいだろうと。
どこからでも参加できる、新しい追悼の形「リアル×バーチャルのお別れ会」
ネット上で追悼を簡単に始めたいならGoogle Formsでお悔やみの言葉を入力できるようにすることがら始めたらいいかと思う。
一枚いちまいそれをプリントするようにして遺族への「弔電」にすることで成り立つ。
それならおカネがほとんど掛からない。
逆に、そこに募金も含めてファンディング(香典チップ)を出せる仕組みを作ればいい。
その「香典」はSquareを通じて「購入」できるようにすればいい。

もちろん、Square社から最低手数料3.6%は取られる。

カスタムドメインに貼り付けることも可能


確かに毎回、葬儀のために作り直すことが大切だ。
そうしないと、遺族への「基金」が作れなくなってしまう。
もちろん、その「香典」=「基金」は手数料が引かれて、こちらとしても売り上げにならないので「弔電料」として3000円なら1000円+3.6%手数料をいただくのも良いだろう。
または、いただいたおカネを葬儀代金の合計から3.6% Square社手数料を差し引いた合計金額を相殺することも良い(チャリティになる)。
これが税法に触れることになるら(可能性はあるな)3.6%プラス「弔電代」500円でも1000円でも「システム費」として徴収することで自分も赤字にならなくて済むはず。
Squareの端末を使うことで現金持たずの決済で弔電や供花を送ることができるのではと思った。
そういう決済システムを提供してくれる会社やノウハウを持った人たちが日本のエンディング産業全体にいないなと感じたこの3日間でもあった。
